第20回つどい/オリエンテーリング(2003年6月)
6月1日(日)に第20回目のつどいが開催されました。今回は新宿御苑でのオリエンテーリングでしたが、台風の接近が心配される中、お天気にも何とか恵まれ、無事に成功させることができました。
今回のオリエンテーリングは、ザリガニ釣りやステレオクイズ、歌、パズル、縄跳びなどといったゲームを行いました。小学生の子どもたちにザリガニ釣りがとても好評でした。グループが一つになって協力しながら楽しくポイントをまわっているのを見て、私もすごく嬉しくなりました。
午後のグループごとの話し合いでは、吃音のこと、学校のこと、友達のことなどを話し合い、またスタッフからも、経験談や仕事のこと、学校のことなどを話しました。友達や家庭ではなかなか話せないようなことを、初夏の風と新宿御苑の多くの緑につつまれながら語り合うことができたと思います。私たちスタッフにとっても、充実した楽しい一日になりました。
参加者は、小学生5人、中学生1人、高校生以上7人、ご両親7人、スタッフ18人の合計38人。
参加者の感想文を紹介します。 (関口綾香)
津田 新(小学3年)
今日、新じゅくぎょ園へ、行きました。ザリガニつりは、楽しかったけど、午前中も、午後も、つれませんでした。ぼくは、「みんなつれて、うらやましいなー。」でも、またやりたいです。
津田 美代子
「僕、言葉の遠足に行くからね」と、今回のつどいは息子の意志で行く事になりました。
前回の思い出が楽しかったのでしょう。朝、小雨が降っていても気にすること無く元気に出かけました。
前回同様楽しくゲームをして、オリエンテーリングをしました。Bチームは3年の息子と、4年の男の子、中学生のお兄さんと中年おばさんの私、「よーい・ドン!」で駆け出す3年と4年のぼうずたち、「まてまて最初から飛ばすと後まで持たないよ」と戒める声など聞いちゃいない2人を先頭に、手綱役の中学生、最後にやっと追いつく私。大縄跳びは5回跳ぶのがやっとだったけれど、ザリガニ釣りでは我がチームは4匹釣り(私も初めて釣りました)これが大量得点になり、優勝。またまた楽しい思い出が出来ましたね。
午後からはグループ毎に分かれてミーティング。子供たちはザリガニ釣りに行き、親達は木陰で話し合い。なんといっても吃音者である若者の話は、心を打たれる思いがしました。言葉がうまく話せない事で、こんなに苦しいよということが言えない苦しさ、解ってもらえないと頭をかかえこんでいる様子が見えるようです。けれど最後はこれからは違うよ・・という力強さが感じられて安心しました。その時の話し合いでは、うまく話せないということは、子供自身が一番つらくて苦しいのだけれど、見ている親もつらいのよと話し合い、共感していました。
今回つどいの感想を書いていて、私の中で子供の吃音を見つめる時の気持ちが、少し変わっているような気がしました。前回参加した後、数日間は正直に言うと気持ちが落ちこみました。始めてのミーティングで聞いたお話が沈痛なものが多かったからかもしれません。けれど今回は、お世話をして下さる皆さんの姿を見ていて、(やさしくて、明るくて、・・・)息子の未来も、それ程心配した事もないかと思っていたのです。
最近の息子の様子を、夫や義母は最近あまりどもらなくなったねと言います。(私にはそんな風にはとても思えなかったので、)3年生になり語彙も増え、話したい事も多くなったのでしょう。私と話す時はどもりまくっています。今回、安心しているからどもれるんだと言われた言葉で、私は一安心したのです。子供が小さかった時、ことばの教室に通い始めた頃は、少しでもうまく話せるようになってもらいたいと願っていました。治るなら治してあげたいと思いました。(もちろん今も、そう思はないことは無いのですが。)
最近息子との会話は時に難解なパズルをしているようです。私が、わざと「それじゃ、解らないわよ。」と意地悪すると、彼は違う言葉を捜して、時には絵を書いてと、一生懸命伝えようとします。私がなかなか分らなくてやっと分った時、2人して答えを見つけたようにヤッターと笑うのです。私は、そんな会話が出来る事を楽しんでいるのかもしれません。どもりながらも、友達と楽しそうに話す彼を見ているのも好きです。息子が、何にでも興味をもって、がんばっているのは・・彼に吃音があるからかなと思う事もあります。友達から仲間はずれにされ、落ち込んでいる息子を見た時は、吃音のせいかしらと心配しましたが。元気になれば、困難を乗り越えて少し大人になったねと息子を見つめる・・親ばかです。
追伸
とりとめも無くかいてしまいました。感想文とは離れていきましたが、良いでしょうか?息子の感想文はザリガニの事しかありませんが、…。サマーキャンプは今のところ子供は行きたいと言っていますが、同年齢のお子さんが数名でも参加されればと・・・親は思っています。
御苑で息子が最後にお礼の言葉を言いましたが、楽しかった思いが素直に言葉になったのだと思っております。私も同じ感謝の気持ちです。「ありがとうございました。」
三輪 矩明(のりあき 小学3年)
矩明の感想ですが「文章を書くのは大の苦手」と本人がいうので質問形式で代筆します。
・今日はどうだった? → 楽しかった。また行きたい。
・何が楽しかった? → オリエンテーリング!!僕がリーダーになったんだよ。クロスワードパズルは全部僕がといたんだよね!大なわは僕がいたからおまけしてもらったんだ。でもビリになっちゃったよ。何でかなー?お姉さんが抱っこしてグルグル回ってくれたのも楽しかった。ザリガニがつれなかったのが残念だよ!
・お兄さんやお姉さんにもことばがつっかえちゃう人がいたんだけど気がついた?→ えー!そうなの?全然気がつかなかったよ。
・ お兄さんにパンチやキックしてしまったり、お姉さんにしがみついてしまった事は? → あれは遊びだったんだよ。
・でも喜んでなかったね。楽しそうじゃなかったし…。→ わかったよ、もうやめる。ごめんなさい。
・また行きたいね → うん うん ぜぇーったい行く。
三輪 誠子(のぶこ)
矩明にとってはこの上なく楽しい時間だったようで、たくましく優しいお兄さん、お姉さんに思いっきり甘え、オリエンテーリングではリーダーの名をいただき、満足至極の1日を過ごす事ができました。
私は昼食後、中高生のお母様方や吃音をお持ちの方にお話を伺う機会を持つことができ、「今はしゃべりにくさはあるだろうけれど、言いたい事をがまんする事もなく、おしゃべり大好きな息子が吃音に悩み、葛藤を始めるのはこれからなのだ」と改めて実感することができました。
同時に、本人が一人で苦しい思いをする前にこの会に参加できた事は、大げさかもしれませんが息子の人生が変わるくらいの幸運だったと思っています。
我が子の事とはいえ、深層心理まではとても理解する事はできませんし、成長するにつれて親に話してくれる事も少なくなります。そんな時に言友会の活動に参加する事が矩明の心の拠りどころになってくれたらと思わず願ってしまいました。
また他の行事にも参加させていただきたいと思っています。今度参加する時には「みんなが嫌な気持ちにならないように楽しく過ごすために矩明はどう行動したらよいか?」というテーマで良く相談してから出席したいと思っています。どれだけ効果があるかわかりませんが、皆さん、またよろしくお願いします。
徳武 紀恵子(中1 洋輔君のお母さん)
今回は新宿御苑でのオリエンテーリングとのことで私も、息子洋輔も楽しみにしていました。前夜からお天気はイマイチでしたが当日はなんとか持ちこたえてくれてよかったですね。毎度お楽しみのゲームではいろいろな参加者の方々と少しずつですが話をすることができました。でも何故かゲームって結構な確率で誕生日が出るんですよね。そんな時は私は必ず小堀君の所に直行します。なんといっても1日違いなので。歳はずいぶん違いますが誕生日はとっても近いんです。
オリエンテーリングでは青木君、本田君、中村君と同じグループでした。なにせ、みんな高校生。若いっ。私が平均年齢をぐーんと引き上げていたっていう感じでした。最初、本田君は高校1年生だと知っていたのですが、青木君にしても中村君にしても落ち着いていて大学生かなと思いました。聞いてみると青木君が高校2年生で中村君は本田君と同じ1年生とのことで、びっくりしました。話の受け答えなどが大人っぽいというかしっかりしていて、我が家にも高校1年の息子がいますが、本当に驚きました。このメンバーで最も張り切っていたのが本田君でした。とにかく走って行っちゃうし、道はまちがえるし、歌も大きな声で歌ってくれるし、歌の所では周りに散歩を楽しむ人なんかもいて、青木君風に表現すると「さむい。」くらいに恥ずかしかったのですが、とにかくいいポイントをゲットするために4人で歌い、歩き、走り、飛びはね、ザリガニを釣り、がんばりました。私は長縄ではみんなの足を引っ張りましたが、なんとメンバーの中で唯一ザリガニを釣って20ポイントを獲得したんです。あと花の名前も結構言えたかな?1着でゴールインしたのですが、残念ながら3位でした。
お昼を挟んで話し合いでは、お母さん方からもいろいろなお話がありましたが、学校の先生を選べないという現実はいつも感じます。でもその現実を嘆いてばかりいても始まりません。幸い洋輔は小学校3年生から先生に恵まれました。またほぼ同時期に言友会とも出会い、吃音を受け入れていくことを徐々にやってきました。吃音のたくさんの仲間がいて、うれしいこともつらいことも共有していけることを洋輔は知っています。学校でのつらいことは集いなどで話して解決策を考えたり、話すだけでもすっきりしたりしますよね。今回もいろいろなお母さんのお話をお聞きして皆さん本当に大変な思いをされているなあと思いました。そして私も数年前までそんなつらい思いの真っ只中にいました。これからの不安もたくさんあります。でも洋輔だけでなく私にもたくさんの仲間がいてくれるので、助けていただきながら洋輔をサポートしていきたいと思いました。話し合いの場でもお話したように洋輔は自分から担任の先生と仲良しの友達に吃音者であることを5月の中旬ごろ話してきました。そして先生も友達も慰めたり、励ましたりするのではなく、ただひたすら受け止めてくれたことをとても喜んでいました。
2歳半で吃音が始まってもうじき10年です。なんとまあいろいろなことがあったことでしょう。今回はそんなことも考えながら話し合いに参加していました。洋輔も話し合いでは高校生のお兄ちゃん達と楽しく話したようで喜んでいました。女の子の話とかも出たようですね。青木君の話が面白かったそうです。本田君とは携帯のメールアドレスを交換していました。本当にうれしかったです。
そういえば小堀君は我が家からとても近い大学に在学中なんですよね。駆けつけてよね、困った時は。スタッフの皆さん、いつもながら本当にお疲れ様でした。そしてありがとうございました。これからもよろしくお願いします。
青木くん
前回参加したときよりも話せる人の輪が広がったと思う。また次回も参加するつもり。必要なのは、どもりながら話すこともそうだけども、その中で自分を主張しあい理解する事だと痛感した。
青木 正子 「一人で歩き出したね」
定期的に送られて来る「つどい」を息子は何気ない振りで目を通し「遠いから嫌だ!」から始まり、「行く」と言って電車には乗ったものの乗り継ぎになると「やはり行くのを止める」とユーターンして帰る。ある時は「行く」と言って土壇場で気が代わり私一人で出掛けた事もある。そしてついに、今年の三月のつどいに初めて参加する事が出来た、親子別々のグループで料理を作る。最初はムスッとしていたが時間が経つ内、和やかな表情になっていくのを遠くから見てホッとする。自己紹介は絶対しないから!と言っていたが笑顔に近い表情で挨拶しているのを聞いていて仲間の力は凄い!と思った。
二度目は新宿御苑でオリエンテーリングに参加する事が出来た。当日は初めから和やかな顔だった。早めに着いたが他の人はもう来ていた。二度目なのですぐに仲間の方達の中にすんなり溶け込んで楽しそうにお喋りを始める。最初はゲーム、つぎにオリエンテーリング、心から楽しんでいる。帰りも仲間の方達との別れを惜しんでいる様子がよく解った。歩きだしたのね!頑張れ!母の杖ももう少しでお役御免かな?素敵な仲間との出会いに感謝!
富松 良介(スタッフ)
「自分らしさ」を発見できる。これは、つどいに参加して良かったと思うことのひとつです。吃音に対する温かい理解溢れる雰囲気の中で得られる安心感、開放感は「自分らしさ」を引き出してくれます。普段は人前で吃音症状を出すことに抵抗感を覚える私ですが、つどいでは「吃音のことも含めた自分らしさ」を自然に出すことが出来て、とても幸せな気持ちになります。私はスタッフとしてつどいに参加していますが、参加者の人達、そして他のスタッフにも、つどいで「自分らしさ」を見つけて欲しいと願っています。吃音という問題を抱えながら生きている自分もまた自分なのだということは、頭ではわかっていても心からそう思うのはなかなか難しいことなのかもしれませんが、つどいにはそう思わせてくれる「力」があるような気がします。