第23回つどい/お料理教室(2004年3月)
3月14日(日)に第23回中高校生の吃音のつどいが開催されました。
参加者は小学生8人、中学生3人、高校生8人、御両親11人、スタッフ27人の計57人です。
3月のお料理教室は年4回のつどいの中で最も参加しやすい時期とあって、一番参加者が多いです。毎回参加している人、久々に参加した人、初参加の人もいましたが、最初にみんなでゲームをしたり、料理を作ったりして、和気あいあいと盛り上がりました。
つどいの良い所は、初参加の人でも楽しめる所です。初参加の人が何人かいましたが、そのうちの一人が、『参加するかどうか迷ったけど、参加して良かった』と言っていました。こういう言葉を聞くと我々スタッフはとても嬉しいです。 話し合いの時間では、吃音の話をして、自分の悩みを相談したり、みんなは普段どうしているのだろうということも聞け、自分のタメにもなります。
また、吃音以外の話もできるので、とても有意義な時間です。吃音で悩んでいる人は、是非一度参加してみて欲しいと思います。
参加者の皆さんの感想を紹介します。(文責 出村 耕平)
M.S さん(小学校6年男子のお母さん)
今回、初めて参加させていただくということで、不安と緊張でいたのですが、そんなことは私だけのようで、息子はすぐに溶け込んでいる様子でした。 チームに分かれてお好み焼きを作る・・・「え!息子と別れるの?」「大丈夫かしら?」
大げさですけれど、吃音があるということで、なぜか常に心配で、静かに見守るということができず、細かいことまで手や口を出してしまう私にとっては、一歩踏み出すことができた新たなスタートでもありました。
偶然にも息子とは、隣のチームでしたので、いいのか悪いのかチラチラ見ていると、中学生のお兄さんに体を高く持ち上げられていました。かなり小さい時やってもらった「たかい、たかーい」みたいで、表情は見えませんでしたが、体全部でうれしさを感じているようで、私も微笑んでいました。
長男1人の妹3人、下の面倒を見ることばかりですが、ここでは長男ではなく、甘えることができ、初めて会ったばかりなのにもうすっかり仲間になっているようで、自分を自由に出せる言友会という絶好の場所が見つかり、本当に有り難く思っております。
それから、佐藤さんから話をお聞きしたお陰でわかったことがあります。吃ることについて波があることは、本人も低学年の頃からわかっていましたが、高学年になると、吃りそうなことばは言い換えたりすることで、目立たなくなり、上手に話せることで、自信にもつながっていると思っていました。それで、前より楽になったかと思っていましたが、それはみんなの前(学校)で、吃りたくないという気持ちからでもあり、決して楽になった訳ではないとわかり、子どもなりに苦しんでいたのか分かり、胸が痛くなりました。
だから、平気で吃れる所が必要で、プラス、自分のことを理解してもらえる、共感できる、この言友会は素晴らしいと思いました。
佐藤さんの話をお聞きしなかったら、これからも、吃らずに上手に話せることを子どもに望んでいくことになっていたと思います。
これからの私の課題は「もっともっと吃って話してもいいよ」という位の大きな気持ちで受け止め、接してあげるということです。
S.K 君(高校1年)
僕はつどいに参加して良かったと思います。初めて同じ吃音者と出会って、ああ、自分もこんな風にどもっているんだと感じ、なぜか救われた気がしました。
いつも一人で、吃音に対して悩んでいました。どもることが嫌で嫌でたまらなかった僕は、いつも背を向けて逃げていました。いつも誰かに迷惑をかけていました。それを全部、吃音のせいにしていました。でもつどいに参加している人は違った。吃音をオープンにし、まるでそれが何だと言わんばかりのどもりっぷりで、僕は自分が情けなくなりました。こんなにも吃音に対して、向き合っている人がいる。そのことに救われたんだと僕は思います。
つどいにはいろんな人がいました。おしゃべりでよくしゃべる人、学校方面で悩んでいる人、ことばの教室の先生や、それと優しいスタッフの方々。駅で迎えに来てくれた坂田善政さんには本当に感謝しています。元気いっぱいの小さな子供達、いろんな人に出会えました。
本当につどいに参加してよかったと思います。これからもつどいに参加していきたい。
できれば今度は自分が誰かの悩みを聞いてあげたいなんて思ったりもします(笑)。
吃音者としての自分とちゃんと向き合っていきたいと思います。
平田 裕子さん(国立身体障害者リハビリテーションセンター学院 言語聴覚学科1年)
今回、初めて参加させていただきまして、本当にエネルギーをもらいました。前向きで明るい集いだったということです。そのことを特に感じたのは、M君との出会いです。調理最中に、小学2年生のM君が、「生まれつき変なところあるでしょ?」と私に聞いてきた時のことです。私は、思わず「う~ん・・・そう、私、発音がおかしくって・・・」と答えました。すると、M君は、「僕もね、発音がおかしくてね、あとね、右の親指が曲がらないんだ」と話してくれました。そのM君が堂々と話してくれたことに、驚いたとともに、すごいなぁ、と思ったのです。
私は、側音化構音障害といういわゆる構音障害の一種で、イ段の言葉うまく言えません。友達に、「おかしいよ。」と言われたこともしばしばです。自分の障害を分かる人の前で話すのは、どうしても躊躇してしまいます。時にどうしても苦手な言葉を抜かしてしまうこともあります。M君の堂々とした態度は、無邪気さゆえなのか、強さゆえなのか・・・私には分かりません。けれども、そのようなことを許してくれる雰囲気を持っているこの集いがすごいなぁ、と思いました。
M君も、自分自身をもっと見つめ、この集いに集まったような高校生に成長する時が来ると思います。でも、きっとM君は、この集いに集まっている高校生のように、苦しみ、痛みの中で、どれだけ自分が大切なものを得ているかを考えることができるような大人になるのだと思いました。自分の弱さを受け止め、それとどうつき合って生きていくか・・・が大事なんだ、とこの集いを通して思ったことですが、私には弱いところが数え切れないほどあり、今もその付き合い方は模索中です。
きっと、この集いに集まった方々も、それぞれ自分の弱さとの付き合い方を模索しつつ、前向きに頑張っているのだと思いました。その明るさ、前向きさに、多くのエネルギーをもらいました。